問題点4:残された救命手段がないと虚偽説明して治療の選択肢を奪うことと「説明不足」の違い
前回は入院中、8月27日から翌28日に起きた出来事を振り返り、その経過から、医師らが心タンポナーデを見落としたと考えた理由について 説明しました。医師ら(岩井利之医師、梅本朋幸医師)の説明によれば、8月27日の時点で心嚢水が増量してきていることは心エコーで確認していたが、 その時点では安全に心嚢穿刺ができるほどの量ではなかったため、そのような説明(残された治療法がないという説明) になった。決して見落としていたわけではない」、「そのことは把握していたが、それが主要因とは考えていなかった」 とのことでした。
私たちが「それなら、何故その時点でそのことを説明してくれなかったのですか?」と質問すると、 「それについては申し訳ないと思います。説明不足でした」として、医師らは単なる「説明不足」の問題である、としました。
しかしこの状況は「説明不足」だけで逃げ切れるでしょうか? 今回はこの点について深く切り込みたいと思います。
残された救命手段がないと虚偽説明して治療の選択肢を奪うことを「単なる説明不足」と言えるのか
父の状態、治療方針について医師らの説明が不足していたのは事実ではあります。 しかしその「説明不足」が「ただの説明不足」で大きな問題とならないのは、その「説明不足」が 患者や家族にとって、デメリットをもたらさない、つまり、説明の有無や多寡が、患者の生命予後や転帰に ほとんど影響をもたらさない場合に限られます。 医師としては最善と思われる治療をしていたが、患者・家族への説明が抜けており、 患者・家族がそれを問題にした場合には、「説明不足」という言い訳が成立します。それとは逆に、医師の説明が不足することにより患者・家族が現状を正しく理解できず、 治療方針決定や意思決定が本来あるべきものからゆがめられてしまう、といった場合や、 本来選択できる治療の選択肢が医師から提示されない場合、 患者や家族は医学的に最善の治療方針を選択する権利を、医師側から奪い取られてしまいます。
父が危篤状態に陥った8月27日の時点で岩井医師、梅本医師らの説明な次のようなものでした。
「心筋梗塞の範囲が極めて広いため、心臓のポンプ機能が低下し、血圧が維持できなくなっています。 昇圧剤を最大限投与していますが、これで血圧が維持できなくなれば、残された治療法はなく、 今晩か明日、お亡くなりになる可能性が高いです。」
しかし実際はこの説明は間違いで、血圧が低下した(ショックに陥った)原因は、心原性以外にも複数ある可能性が 高かったことは前述した通りです。胸腔や心嚢への出血による出血性ショック、胸腔への出血による緊張性血胸、 心嚢内への出血による心タンポナーデによる心外拘束・閉塞性ショック、重症感染による敗血症性ショックなどです。 それらに対する「治療法」は残されていたわけで、「残された治療法はない」というのは 私たち家族を諦めさせるための嘘であったわけです。
そのようなわけで、医師説明内容として最も正しいと思われる説明は以下の通りです。
「当初のPCI(カテーテル治療)で誤って大動脈や冠動脈を傷つけてしまい、、 そこからの出血による医原性の心タンポナーデ、 緊張性血胸とそれに伴う貧血、循環血液量減少、 敗血症性ショックなどが合併している可能性があります。心タンポナーデに対しては心嚢穿刺、 緊張性血胸に対しては胸腔穿刺、貧血・循環血液量減少に対しては輸血と輸液、敗血症性ショックに対しては 抗生剤の変更などが治療法・対処法になります。 これらはそもそも医原性で、最初のPCI治療で大事故を起こしてしまったことによります。 大変申し訳ありません。根本治療は手術しかありませんが、その前にできることを行いながら、 手術に向けて全身状態の管理を行っていきたいと思います」
いかがでしょうか。
梅本朋幸医師、岩井利之医師は最初のPCIでの大事故については一言も言及せず、またその時点で可能な対処法についても 一切提示せず、「残された治療法がない」と嘘の説明をして、私たち家族を諦めさせ、患者の死を待つ方向に 誘導しています。実際は治療法があっても、医師が「治療法がない」と嘘をついてしまえば、 私たち家族には諦める以外の選択肢がなくなってしまいます。
救える患者、そして救ってほしいと懇願する患者家族の前で、「残された治療法はない」と嘘の説明をして諦めさせ、看取らせる、 このような故意の「説明不足」により、患者が本来受けられたであろう治療が受けられずに死に至る という場合、それは「単なる説明不足」ではなく、「悪質な隠蔽による患者殺害」となります。
刑法の条文を調べたところ、このような行為は「不作為の殺人罪」に該当することが分かりました。
この「悪質な隠蔽」を医師らは「説明不足」という言い方で矮小化しようとしました。 また医療事故が起こった場合、それを隠蔽するのではなく、患者や家族に正直に説明する責任を 医師は負っているわけですが、それを説明しないのは「説明不足」ではなく「隠蔽」であることは言うまでもないことです。
医師らは「事実の隠蔽」という悪質な犯罪を「説明不足」と言葉を変えて矮小化し、 本質を見えにくくして、私たち患者家族を騙そうとしたということです。
8月27日の重度のショックを解除しなかったことで、おそらく脳血流が低下し、低酸素脳症に至ったと考えられます。 その後、9月5日頃に鎮静薬を終了し、人工呼吸器から離脱しても、1週間の経過で父の意識が全く戻らなかったことからも それは明らかです。
そして最後、9月12日のCTで頭部に急性硬膜下血腫、脳出血が認められ、これらが死因となりました、
次回はCTで認められた「急性硬膜下血腫」、「脳出血」と死因について、 医師の説明内容と、医療記録から導き出された真実を対比させながら、説明していきたいと思います。
次は、問題点5:急性硬膜下血腫の原因の頭部打撲を隠蔽【医療事件抹殺事件簿8】へ。